第135回 読書会 「泣き虫ハァちゃん」河合隼雄・著 新潮社2007,11月30日発行

2〜3ページ毎に色鮮やかな挿絵がページいっぱいにはいっている。だれにもわかると
言えば良いのか、わかりやすく写生風の水彩画なのだ。それに大変読みやすいのだ。
奥様の河合嘉代子さんが{あとがき}に書いておられるが<フィクション>であるが
先生の少年時代のイメージそのものと言ってもよいと。いうことは文中から察するに
非常に繊細な神経の持ち主でいらっしゃるようであること。情け深くて、涙もろいと
いうことがわかる。6人兄弟と今にしたら多いが強くて元気だがやさしいので「ハァ
ちゃん」の泣き虫をからかわない。時にはかばう。お母さんの弾かれるオルガンに
あわせてこの兄弟はうたを歌うのが大好きだそうだ。両親が仲が良くて常識のある
ひとたちのお子さんは出来がよろしいのだ。近頃の悲惨な事件について報道されるが
悪い社会になりはててしまった感じがする。戦前のこの小説の時代にはこのごろの
ような悲惨な事件はなかった。月刊誌の「文藝春秋」には今日の社会や政治など
時事解説や有名人の消息など今知っとくべき社会の常識というものがのっているので
読む価値があるという話もでた。ページ数が多くて分厚いのでかさ張るからパンと
半分に切ってうすくしたものを読むとか読みたい箇所をきりとって持ち歩いて読む
などの意見がでた。今も昔も「文藝春秋」は良識の基盤なのか?
いえることはいい家庭にいい子供さんが育つということか。そして長じて小説を書いたり
文章を書いてそれらのことを証左される。 選書の動機はメンバーさんのNさんとMさんが
伊賀上野を旅したとき偶然であったひとり旅の同世代のひとが<読書会>で読んでよかった
と教えてくれたということから。暖かい読み物でした。