第120回読書会

テーマ本は「私本・源氏物語田辺聖子
この本は源氏物語54帖の中の最初の{桐壺}の巻き
次の{帚木}の巻きも飛ばした田辺式の新しい源氏
の読み方であると思う。光源氏の家来のそのまた
家来の「伴男」という新入りの登場人物が堂々と
幅をきかせて、登場しなかなか面白い。小舎人(こ
とねり)とよばれる雑仕(ぞうし)ではあるが
シャレ男のイナゴ丸や小鷹、大虎といった舎人や
牛飼童の雉子丸がいる。そういう連中を監督する
立場にある。仲間内では光源氏のことを<うちの大
将>と読んでいる。40歳すぎの中年男ひげの「伴男」
のモデルはカモカのおっちゃんだとする見方もある
そうです。源氏物語のパロデイ(既存の作品の特徴
を生かして風刺、諧謔、教訓などを目的として
作りかえた文学などの作品単なるギャグではない。)
第1章 何とも夕顔なき恋の始末の巻  夕顔
第2章 北山のすずめっ子の巻  紫の上
第3章 雪の朝の丸太ん棒の巻  末摘花
第4章 森の下草老いぬればの巻  源 内侍
第5章 おぼろ頭の春の夜  朧月夜の内侍
第6章 色けの花は散り散りの里の巻  花散里
第7章 六条のオバハンの巻  六条御息所
第8章 夜あかし潮汲みの巻  明石の上

 (表)では描かれない裏事情を赤裸々に描いて
いる。例えば光源氏が愛を語らっている間お付きの
人々が何をしているか、なんて考えたことある
でしょうか。あんな重たそうな服装をして食事
やトイレはどうしていたのでしょうか。
本音のところ末摘花や花散里をどう思っていたの
でしょうか。そんな人間味あふれる部分を本書では
描いています。教科書どうりの「源氏物語」の
イメージしかないと目から鱗の内容です。
思わず噴出してしまう楽しい本です。
 心配したとうり大阪弁でどんどん書かれた話に
拒絶反応を起して投げ出したと言うたかたもいま
した。{優雅}{王朝のみやび}とは凡そかけはな
れているという印象を持ったかたもありました。
感想とはひとそれぞれですね。抱腹ぜっしょう。