122回読書会「死にたもう母」出久根達郎・1999年新潮社

 1993年に「佃島ふたり書房」で第108回直木賞をその前年
1992年に「本のお口よごしですが」で講談社エッセイ賞
受賞している。読みやすくお口あたりのよい好読み物である
の評判で賛辞しきりだった。私の選書だったのでほっと胸を
なでおろしたしだいです。それから{私達の行く末を暗示
しているようでもありまた身の回りの親族や近くの年寄り
のことを考えて現実のこととして納得して読むことが出来た}
上手であることの証左だと思われるが時間的に早く読めたと
いうた方がいた。作中の認知症のタイプも考えさせられたし
生活の感覚というかレベルが下町風で好感がもてたし
理解がしやすかった。テレビよりラジオ、インターネット
より辞書という生活態度もすごく共感を持って迎える
ことが出来てよかった。書名の引用は斎藤茂吉の「赤光」の
「死にたもう母」を拝借されたそうだ。
出所は定かではないが(エッセイの名手)として
女性では田辺聖子、男性作家では出久根達郎が秀でている
とあった。最近9月21日の読売新聞の{人生案内}の回答者に
氏は「派遣の仕事 将来に不安」との質問にやさしい切り口
で丁寧に回答していたのが印象に残りました。
文藝春秋発行の「本の話」の1998年4月号は特集:僕らは
古本探検隊 という小冊子が手元にある。
その小冊子の冒頭「古本屋は文化のゆりかごである」と
鴨下信一氏と対談している。今後、古本屋としてまた
エッセイストとしても頑張っていただきたいものです。