*{今日中に寝るんやで}と介護施設にお世話になっている
母は今夜もそう言って、ベッドから片手を差し出した。
{ハイハイ}と言って握り返す私。受付のカウンターで
お見舞い記録を書いていたら、呼び止められた。今朝から
探していた配達のときのおつりを入れてある財布を見せて
くれたのだ。まさか届けられているなんて夢にも思わなかった。
{ひえーうちのです}と言ったか。 思ったのは確かです。
目の前に<義援金>と大書した赤いポストが置いてあった
ので、考えずに500円硬貨を入れた。
 自転車置き場のよその自転車のサドルの上に置いてあった
とか。今日中に寝るのを守らないから、そんなぼんやりした
ことするんや。と叱られそうだから、内緒にしておこう。
しかしまた一つ(幸せの貯金)が増えたわ。昨夜のチョコレート
の貯金は朝から早速と私にとっていやな困ったことがあったので
ひとかけかじって、帳尻を合わせた。ほろ苦い味がした。