* 154回 読書会 「蒼のなかに」玉岡かおる・著  平成16年5月 角川書店
 私は選書を間違ったと思い、さきに口火を切ってあやまってかかった。 しかし 2〜3の方がそうでは
ないとの援護の発言があった。 活字が意外と小さいし全頁370ページあるし、”ガン”の治療、闘病の様子
が、かなりのページを占めているので、{うっとおしいかった}とかの悪い感想が最初から出てきて、問題
にも、話題にすら上らないかと、心配していた。以外や以外。参加者の中にひとり、ずばり”ガン”と戦って
おられる方がみえた。うちでひとり過ごしているより、たとえ2時間でも3時間でも、みんなと”本”の話を
したり、みんなのとりとめのない話でも聞いたり、自分からしゃべったりする方がいくらか気も晴れる
だろう。と本を読まずに参加された。私は正解だった。といいたい。ご本人は結構笑ったり終始にこやか
だった。声をあげて笑っておられた。本人さんは気付いておられないかも知れない。
 播磨地方の旧家に生まれ育った漆原紗知。結婚に破れた後は小さいながらも編集事務所を設立。なんとか
自力で人生を切り拓いてきたつもりでいたところへ四十半ばになったころ、病気、仕事、さまざまな困難が
紗知を襲う。いつの時代も懸命に生きる女たちの姿を大阪、播州、そして美しい瀬戸内の風物を背景に
描ききった傑作長編である。私は毎晩40~50ページを目標にしていたが、時間がとれなくて読めない晩も
10ページのときもあったが、まわりの皆さんは一気に読めたし、面白かったと言っておられた。
玉岡かおるの著書「お家さん」が上、下巻で文庫になったし、いちど読んでみたい作家だったというのが
大方の意見なのでよかったのだろうか。ちなみに「お家さん」は戦前日本一の巨大商社・鈴木商店を起こし
陰で支え続けたおかみさんのお話です。