「食味風風録」(ぶうぶう)と読むらしい。阿川弘之著2001、新潮社

この著書の前々年に氏は文化勲章を受章している。
おいしいもの大好きらしい氏の滋味深い食べ物
エッセイの決定版といえると思う。28の小さい文章から
なっていてすべてにおいて格調高い。私はまず<船の食事>
から飛びついて読んだ。大西洋定期航路の花形客船「レオナルド・
ダ・ヴィンチ」や「ミケランジェロ」に乗っておられる。そこでは
ちょっと並ではない食体験をしておられる。お付き合いの方たちも
イクラスのかたばかりです。このエッセイを通していえることで
あるが文中に出てくるのは名士ばかりである。特に
吉田健一氏と奥本大三郎氏にはなにかと思い出がある。
吉田氏は麻生前首相の叔父さんに当たる方だしまた大分昔週刊誌か
なにかで読んだが氏のおっしゃるには「いくら大きな住まいに
住んでいてもそこに<本>の1冊もない生活をおくっている人がいる
場合もあるがいったいどのような人であるか思い知らされると。
私はこの意見に大層共感を覚えたことがあります。また奥本氏は
ジュニア向きの「ファーブル昆虫記」の翻訳を大分前にされた時
に講演会があってその会にいった時の印象が強かったのでそんな
ご縁から吉田氏と奥本氏の故事来歴をパソコンから出してコピー
した。阿川氏のも引き出したら8枚もあったので4枚に減らして
人数分コピーした。この著書で(読売文学賞)を受けている。
数多くの著作に対してとおもうが2007年には(菊池寛賞)を受賞
されている。1959刊、岩波のこども絵本の「きかんしゃやえもん」
の作者だったとは知らなかった。また月刊雑誌「文藝春秋」
巻頭随筆は毎号トップバッターである。食欲の秋 みなさんにお勧め
します。そして薀蓄が増えること請け合いです。